北海道ツーリングE 


7月31日(日)〜8月2日(火) 【ニセコ高原→余市→積丹→小樽→舞鶴→福山】
<7/31(日)13日目>ニセコ高原→余市→積丹→小樽(フェリー)
 いよいよ北海道最後の日。今日の予定は岩内まで出て、そこから日本海沿いに北上し、神威岬、積丹岬を通り、余市のウィスキー工場を見学、それから小樽港からフェリーに乗るという盛りだくさんの行程である。

 順調に岩内まで走り、休憩を兼ねて道の駅に入ると、力士の一山本の等身大の写真が。ここ岩内は一山本の出身地らしい。この縁でそれから大相撲を観るときは彼を応援している。

 外のテーブルで、フェリーの予約をする。往きの予約はパソコンでしたので簡単だったが、携帯では字が小さく読みにくくて苦労した。往きは早くから申し込んだので、ツーリストSという入り口がカーテンの個室タイプだったが、帰りはSは全て予約済み(数が少ない)だったので2〜4人が一部屋でベッドだけカーテンがあるというツーリストAを申し込む。車両の情報は前回登録していたので支払いのボタンを押すと金額が12000円とかなり安い。おかしいと思いよく見るとバイクの料金が入っていない。訂正しようとしても、もう確定しているので上手くいかず、こうなれば直接小樽のフェリー乗り場に行ってバイクを追加するしかない。冷静に考えれば行程通りで行っても追加できるのは可能だが、その時は焦って下手すればフェリーに乗れなくなるのではと心配になり、急遽ルートを変えることにした。つまり、まずフェリー乗り場に行って、追加の手続きを済ませたのちに他を回るという考えである。

 岩内から元の道を引き返し、5号線を北上する。それまで曇りだったが、山道に差し掛かったところでポツリポツリと雨が落ちてきた。途中バイクをとめて雨具に着かえているライダーがいたが、まだ大丈夫だろうと思ったのが間違いだった。すぐにどしゃ降りになり、止める場所も無かったのでかなり濡れてしまった。トンネルの手前で軒のある建物があったので、そこで雨具を着る。しかし、長いトンネルを抜けてしばらくするとうそのようにカラリと晴れ上がり、適当な場所で雨具を脱いだ。

 この辺りはフルーツや野菜の直売所が多く、メロンやスイカ、サクランボ、トウモロコシなどを売っている。この時期では珍しいサクランボが食べたくなり、小さなパックがあれば買おうと直売所に入ったら、店の人が試食をどうぞと言うので遠慮なくしっかり食べて買わずに出た。実は大きくて甘くて美味しかった。

 直接小樽に向かうはずだったが、余市経由なので先にニッカのウィスキー工場を見学するために立ち寄ることにする。駐車場のそばに看板があって、「工場見学は予約をされた方のみです」ということが書いてあり、当てが外れてがっかり。ちゃんと事前に調べておけばよかった。こういう詰めの甘いところが私の欠点である。しかし付設のミュージアムは入ることができ、ウィスキーの蒸留に関することや朝の連続テレビ小説の「マッサン」で有名な竹鶴政孝や妻のリタの生涯など、とても見ごたえのある内容だった。留学先のスコットランドで手に入れたコルネットが展示されていて、興味をひいた。ミュージアムを出ると売店があり、沢山の種類のウィスキーを売っていたが、ここでしか買えない特別にブレンドされた小瓶をフェリーの中で飲むために買った。

    


 その後小樽のフェリーターミナルに行き、難なくバイク料金を追加し不足分をカードで払う。合計で25000円でSより約8000円安い。ここでついでに明日の夜の舞鶴の宿をネットで予約した。屋根付きの駐輪場があるという「舞鶴グランドホテル」に決める。

 小樽を出たのが2時過ぎで腹が減っていたが、積丹方面でウニやイクラの海鮮丼を食べようと思い我慢する。それまでも宗谷岬で食べそこね、どこかは忘れたが有名なウニ丼の店があったので、入ったらちょうど売り切れだったこともあり、今度こそはと勢い込んだ。もう一度余市を通り過ぎ西へと走っていたら、だんだんと曇ってきた。今日は天気がよく変わる。

 3時過ぎ頃、積丹の手前で海鮮丼の幟の立った高級そうな寿司屋を見つけて入る。ウニ丼、イクラ丼はメニューには書いてなく、壁に寿司屋ならではの「時価」と書いてある。ビビった私は、迷った末にメニューにある無難な2500円の「上チラシ」を頼んだ。なんて貧乏性なんだ!と、あとで後悔するのが我ながら情けない。でもそれはそれで、とても美味しく満足した。

 寿司屋を出ると急に風が強くなり、雲行きも怪しくなってきた。海岸沿いは特に風が強く、吹き飛ばされそうになる。積丹岬はパスし、一番見どころの神威岬を目指す。この辺りは積丹ブルーといって海がきれいなのだが、この天候では望めそうにない。神威岬の手前にゲートがあり、門番の男が立っていてバイクを止めさされた。「今16時頃だが18時にはゲートが閉まるので、それまでに帰るように」とのこと。急な一本道を登っていくと広い駐車場があり、時間が遅いこともあり帰っている人が多い。岬はここから1kmくらい歩くが、急なアップダウンの坂道で結構きつい。岬の入り口に女人禁制の立札があり、昔は女性は入れなかったそうだ。最初の展望台の景色もすごかったが、ここはやはり灯台のある岬の先端まで行かなければ来た甲斐がない。晴れていたら絶景なのにと思いながらも強風の中、先端を目指す。観光客もほとんどいない。先端から見下す景色は波が砕け散り、怖いくらい荒々しくて素晴らしかった。歩き疲れたが来て本当に良かった。もし次に来ることがあれば天気の良いときに来てみたい。

    

     

 17時頃駐車場に戻ると車が4,5台あるだけで売店も閉まっていた。これから小樽に戻り、あとはフェリーに乗るだけだ。ただし、乗船が23時半頃なのでそれまで時間をつぶさなくてはならない。2時間後小樽の街中を走っていると、大きなイオンモールの建物があったので駐輪場にバイクを止め、そこで買い物をしたり、ブラブラしようと中に入る。フェリーの中でもつまみは売っているが、余市で買ったウィスキーがあるので、それに合うチーズやナッツなどのつまみを選ぶ。

 店を出るとまだ時間がたっぷりあるので、来たときと同じ様に、フェリーの船室に持ち込むものとバイクに置いておくものとを分けて整理する。この駐輪場は広い道路に面していて、買い物をしている人を待っているのか車が何台か路上駐車している。するとその中の一台の軽自動車からマッチョなおっさんが出てきて話しかけてきた。聞きもしないのに、自分はトラックの運転手で以前ハーレーに乗っていた。でも北海道は冬が長いので実質バイクに乗れるのは4ヵ月くらいだとか、本州から来たバイク乗りはマナーが悪い。事故をするのは大抵本州から来たライダーだ、などいろいろ上から目線でしゃべるので相槌を打っていたが、正直面倒くさかった。

 フェリーターミナルの待合室で待機し、時間になったので乗船する。荷物をもって自分の部屋というかベッドに行くとコロナのせいか1区画一人で十分なスペースがあり安心した。すぐに大浴場に行き、さっぱりすると、ベッドの上に買ってきたつまみを広げ、ツーリングの思い出に浸りながら、ビールやウィスキーを存分に楽しんだ。

<8/1(月)14日目>フェリー→舞鶴
 朝6時頃一度目が覚めたが、そのままウトウトしていたら気付くと8時だった。フェリーの心地よい揺れは眠気を誘う。大食堂に行き、ちょっぴり豪華な和定食を食べ、昼食は抜くことにする。オープンテラスに行くと、朝からビールを飲んでいる人がいて朝酒の罪悪感を感じつつ真似をする。テーブルの上に地図を広げ旅の記録をメモしながら、時折窓の外の果てしない海原を眺めつつビールを飲むのは最高!これぞ船旅の醍醐味である。

 このテラスには私と同じ様に地図を広げているライダーらしき人が何人かいた。旅の余韻に浸っているのだろう。暇なのでフェリーのロビーに置いてあったクロスワードパズルをする。正解者の中から抽選で景品が出るという。楽勝だろうと思ったが意外と難しく苦戦していたら、すぐ後ろの席の家族連れが同じパズルをしていて、「これって何だろうね?」などと言っている。私は分かっていたので、「それは○○だよ」と教えたくなるのをこらえ、なんとか全部解いて解答入れの箱に入れたが、景品は当たらなかった。残念!

 暇に任せて船内を探索する。5階の船頭と船尾には見晴らしのよいラウンジがあって船頭が喫煙室だった。4階にも喫煙室はあるのになんで?と思う。飛行機と同じく船内は全て禁煙にすべきであろう。3階の洗面所の隣はコインランドリーで、たまっていた洗濯物を洗濯・乾燥する。

 夕食は来たときのフェリーで朝カレーを食べたが、帰りもカレーで締める。
 昨日くらいから左手首に痛みを感じていたが、だんだんとひどくなってきた。2週間も毎日バイクを運転していたら無理もないか。舞鶴に着いたら湿布を買って対処しよう。

 9時過ぎに舞鶴到着。予約した舞鶴グランドホテルを目指す。途中閉店間際のドラッグストアを見つけ、入店してサロンパスを買う。店員にホテルの場所を聞くとここから結構距離があるらしい。
 30分ほど走りホテルに着くと、同じフェリーで来たのだろう、ハーレー軍団が4,5台いて玄関前でホテルマンと何かもめている様子。予約した以外の者がいて追加で泊まらせろと言っているようだ。駐輪場に空いたスペースがあったので入れようとしたら、軍団のボスらしき男が「そこはわしらがとめる場所なのでとめるな」と偉そうに言う。だからハーレー乗りは嫌なんだ。ホテルマンがすぐに来て別の場所に誘導してくれた。

 大浴場に入って、部屋に戻るとサロンパスを左手に張りまくった。ビールに酎ハイ、昨日のウィスキーの残りでいい気持に酔って就寝。

<8/2(火)15日目>舞鶴→福山
 7時起床。晴天。窓のカーテンを開けると左前方に近代的なデザインの舞鶴駅が見え、朝の通勤、通学の人々が歩いている。サロンパスを張り替え、朝食を買いにバイクで出かける。駅の近くなのでコンビニがすぐ見つかるだろうと思ったがなかなか無く、10分ほど走り回ってようやくファミマを見つけた。いつもの定番のサンドイッチと牛乳を買ってホテルに帰ると、ハーレー軍団はすでに出発していた。ゆっくりと朝食。

    

 舞鶴も結構観光の名所が多いので、市内の地図やパンフレットを見ながら計画を立てる。午前中観光して昼頃舞鶴を出発すれば夕方には帰宅できるだろう。まず向かったのはずっと西にある「舞鶴港とれとれセンター」。海産物を売っている店が沢山入っている建物だが、着いたときはまだ早かったので開いていない店もいくつかあった。物色していたら、鯖のへしこというものがあり、聞いたことはあったが食べたことがなかったので、他の魚と一緒に、自宅へクール便で送るという方法をとった。

 次に海軍記念館というのがあるのでそこに向かう。舞鶴は戦前、呉と並んで海軍で栄え、現在は海上自衛隊の基地の町なのだ。北海道とは違って朝から気温が高く、しかも交通量が多くて渋滞気味。記念館は地図で見ると国道に面していてすぐに分かると思ったが、それらしき建物や看板もなく、通り過ぎてからまた引き返すとということを何度かして、やむを得ずナビに頼る。今度こそ到達できると思ったが、ナビの言うとおりに行ったらそこは病院の駐車場だった。最初からそうすれば良かったのだがネットで記念館を検索すると、なんと海上自衛隊基地の中にあり、見学できるのは土日祝日のみだった。汗だくになりながら、費やした時間を返してくれと言いたくなった。

 気を取り直して次に向かったのは、古い赤レンガの倉庫が沢山建っている赤レンガパークである。駐車場の案内に従って道を入っていくと、海に面しただだっ広い駐車場に車が沢山止まっている。多分隣に自衛隊の基地で桟橋があるので、自衛隊員用の駐車場も兼ねているのかもしれない。日陰を探してバイクを止め、パークに歩いて向かうが結構距離がある。こんなことなら駐車場を使わず、そのままバイクで行けばよかった。最初に倉庫の並びがあったが、そこは閉まっていて中は入れない。さらに歩いてパークに向かうが、炎天下の中、観光客もほとんどいない。喉が乾いたので自販機が無いかと探すがどこにも置いてない。かなりの距離を歩いてパーク(といっても赤レンガの倉庫の中に売店などがあるだけだが)に着いたが、さして見るべきものはなく、落胆のまま駐車場まで暑さと喉の渇きと戦いながら死の行軍?を開始した。

 駐車場に戻ると、海上自衛隊の船(イージス艦?昔見た映画「亡国のイージス」を思い出す。)が見えたので、せめて写真でも撮ろうと桟橋に行こうとしたら、進入禁止の鎖が・・・。仕方なく見える範囲で写す。

 ということで舞鶴はまるでいいイメージが無かったが、後日自宅に送られてきた海産物はとても美味しかった。それで良しとしよう。その後、来た時の逆の道を辿り、東舞鶴インターから高速を使って一気に帰宅した。初めての北海道ロングツーリングだったが、実に充実した15日間だった。