北海道ツーリングA

7月22日(金)〜23日(土) 【小平→稚内→宗谷→浜頓別】
<7/22(金) 4日目>小平→初山別(初山別)→遠別(えんべつ)→天塩(てしお)→稚内
 6時頃起きるとハーレー軍団はもう撤収を始めていた。遠く離れた洗面所に行くと、軍団の女性がいて挨拶した。そういえば昨日、黄金岬に行ったとき1台の多摩ナンバーのハーレーに乗った女性がいたが、多分彼女だったのだろう。後から合流したのかもしれない。

 湯を沸かし紅茶を飲み、8時半ごろ撤収して出発。稚内を目指す。2回目のガソリンを入れたが7.2Lで269km、燃費はLあたり37.4kmだった。ガソリン代はL\175で北海道はどこも概して高かった。小平の道の駅があったので朝食をとろうと入るが、レストランはまだやっておらず、隣にあった小平鰊番屋(旧花田家番屋)の建物を見学する。中に入るととても大きくて立派で当時のものが保存してあり、見ごたえがあった。鰊御殿と言うのをよく聞くがここはまさにそれだった。売店でソフトを売っていたので朝食代わりに海を見ながら食べる。

     

 その後オロロンラインと呼ばれる、日本海を左に見ながら景色の素晴らしい道を北上する。本州では考えられないほど沢山のライダーが走っていて、手を挙げて挨拶する(ヤエーというらしい)のが気持ちよく、初めは感動していたが、そのうち慣れた。得てしてハーレー乗りは挨拶をしないことが多く、ハーレーが来たらこちらからは挨拶しないことにした。レーサータイプもしかり。

 初山別を通るとき最初キャンプする予定だった、みさき台キャプ場を参考のため視察する。望洋台と同じく高台にあり、風が強そうでやはり夕日の絶景スポットらしい。

 昼過ぎになり腹が減ったので、遠別の道の駅に入り、味噌ラーメンを食べる。量が多そうだったのでミニを頼むと、十分普通サイズで美味しかった。食後はテーブルで今日の宿泊先を検討する。予定では宗谷まで行き、稚内に引き返すという行程だったが、ツーリングブックに書いてあるようにあまり無理をせず、宗谷は明日にして稚内のキャンプ場に泊まることにする。

 天塩の街に差し掛かったとき、天塩川歴史資料館という看板を見つけ、入る。大した展示はなかったが、なぜか昔のインデアンのオートバイが置いてあり、嬉しくなってカメラでパチリ。天塩は内陸を走る道と海沿いを走る道の分岐点で、迷わず海沿いを選ぶ。少し走るとマップルに載っていた28基の風力発電が道路沿いに立ち並ぶオトンルイというスポットがあり、壮観だった。 
 
    

 その先にマップルで、「うっかりすると見過ごすスポット、北緯45度のモニュメント」というのがあり、その通り見過ごしたのに気付いて引き返した。写真を取っていると他のライダーが来たので、場所を譲る。この辺りは左に利尻島の利尻山(1721m)が見えるのだが、ずっと雲がかかり頂上は見えなかった。利尻島は人気の島で、行ってきたとかこれから行くと言うライダーによく会った。

 稚内を通り過ぎ、宗谷ふれあい公園キャンプ場を目指す。なぜか名前は宗谷だが、稚内市内である。少し道に迷ったが、16時頃無事到着。とても大きな公園で、フリーサイトは入園料の500円だけで格安だったが、そこはすでに満杯で、オートサイトなら空きがあると言う。オートサイトは普通、車で利用することろで中国地方では安くても5,6千円が普通。どうしようかと思い値段を聞くと3500円でしかも60歳以上は2500円だと言う。サイトのすぐそばにはコインシャワー室、コインランドリー、電子レンジまであり、サイトには電源はもちろん、 小さいが水の出るシンクもある。道立ということで施設が充実しているのだろう。即決すると、これは試供品ですと、缶ビールと除菌ティッシュをくれた。
 教えられたオートサイトに着くと、まだあちこち空きがあった。少し離れたフリーサイトの方を見ると、車やバイクの乗り入れが可なので、かなりの密集状態。こっちで正解だった。テントを設営して、シャワーを浴びたり、洗濯をしてサイトに帰ったら、向かいの空いていたサイトに2台のバイクがやって来た。1台はハーレーで、もう1台はSuzukiボルティーというSTの兄弟分みたいな250ccのバイク。この旅ではなぜかハーレーに縁があり、他でもよく出くわした。

 落ち着いたので、稚内の市街で買い物をするために出発。トレーナーだけでは夜寒かったので、厚手の着るものを探しに走っていたら、「西條」という大きな商業施設を見つけて入る。服売り場でジッパーのついた厚手のジャケットを買い、レジの女性に「北海道をなめていました。結構寒いですね。」と言うと「今日は暑いくらいですよ。」と素っ気ない。食品売り場で夜のつまみと酒、翌日の朝食を買う。少し贅沢をして地酒の大雪純米の4合瓶と松前漬け、焼きホタテ、豚タン入りポテサラにする。このポテサラはよそでも見かけ、北海道ならではかもしれない。外へ出ると日も暮れかかり、早速買ったジャケットを羽織ってキャンプ場に帰る。試供品でもらったビールを飲み、寒いので酒は燗をして飲んだらつまみも日本酒に合って最高だった。

        

<7/23(土)5日目>稚内→ノシャップ岬→宗谷岬→猿払(さるふつ)→浜頓別(はまとんべつ)
 昨夜は厚着をして寝たので、全く寒くなくてよく眠れた。寒かったのは寝袋にも問題があり、もっと厚手の寝袋を使うべきだった。そういえば小樽を出るとき、見送りに来た「とまや」のオーナーが「この寝袋ではきっと寒いですよ」と言っていた。さすが!

 朝食を取り、後片付けをしていると、向かいの2人連れは撤収を始めていた。ボルティーの人は先に荷物を積み終え、装備が面白そうなのでこちらから話しかけた。私と同年代のこの人は宮崎から来て、ボルティーに16年乗っていると言う。私がここのサイトは電源があるのでスマホの充電ができて助かると言うと、彼はバイクのバッテリーから電源を取って走りながら充電してると言う。さらに車用の小型のナビが付けてあり、雨に濡れないようケースは百均で買ったものを加工していて、他にもいろいろ工夫があり大いに参考になった。メインテナンスや改造もほとんど自分でするそうで、タイヤ交換からチェーンの交換も。私が「STはセンタースタンドがないので不便だ」と言うと、ボルティーもなかったので、他のメーカーの合うものを探して取り付けたそうである。世の中にはすごい人がいるものだと思ったが、本当のバイク好きはこれくらいのことは当たり前にできるのだろう。見習わなくては。ハンドルに日付け付きのアナログの腕時計を付けていたので、早速帰ってから真似をして取り付けた。

  9時ごろ撤収し、昨日行けなかった稚内のノシャップ岬(漢字では野寒布岬と書く)を目指す。市内を走っていると、ロシア語で書いてある看板がよく目につく。ロシア人が来るのだろうが、コロナのせいか一人も見かけなかった。今日の天気は雲が厚く雨が振りそうだ。昨日酒を燗するのにバーナーでガスを使いボンベが空になったので、ナビでホームセンターを探し、ボンベと雨が降ってもいいようにゴム手袋を買う。雨用には軍手を持ってきたがそれでは寒いので黒潮という名前の漁業用のごっつい手袋を選んだ。駐車場には他にも2,3台バイクがあり、ライダーには重宝するのだろう。隣にとめていた仙台から来たハンターカブの中年男性と話をし情報交換をした。
  ノシャップ岬はすぐ近くのはずだが道を間違え、海沿いをずっと走る。5キロくらい走ったところで間違いに気付き引き返す。この頃には風がかなり激しくなり、波も高い。岬の先端にある灯台の下の駐車場にバイクをとめ、近くの寒流水族館と子供科学館に行く。

 水族館はあまり期待していなかったが、クリオネ(初めて本物を見たが思ったり小さく1cmにも満たなかった)やオオカミウオなど北海道ならではの魚類を見ることができ楽しかった。科学館では南極観測船や観測隊の展示が沢山あり、とても興味深かった。科学館の中に休憩室があったので座って今日の宿泊地を探す。今日明日、道北は雨模様なのでキャンプはせず、宿に泊まることにする。マップルに載っている宿をネットで検索し、よさそうな所があれば電話して、空いていれば予約するというやり方をとった。その結果、浜頓別のクッチャロ湖のそばに「トシカの家」というのがあり、1泊2食で6500円、そこに決める。

 科学館を出て、帽子が飛びそうになるのを必死で押さえながら駐車場に戻ると、バイクのすぐ隣にとまった軽自動車から札幌から来たという2人の若い女性が降りてきたので、「すごい風ですね」と話しかけると、「どちらから来られたんですか?」というお決まりの話になって、しばし会話を楽しんだ。
 この辺りは、観光客向けの食堂や土産物の店が沢山あり、ウニ丼やイクラ丼の看板があったがまだ昼には早いし、これから行く宗谷岬にもきっとあると思い、スルーして出発。

    

 再び稚内市内を通り、ふれあい公園キャンプ場も過ぎたころから雨が落ちてきたので雨具を着て宗谷を目指す。風と雨はますます強くなり、天気がよければ最高の景色なのにと思いながらひたすら海沿いの道を走り、昼過ぎついにあこがれの宗谷岬に到着。

 おなじみの日本最北端のモニュメントがあり、駐車場にはたくさんのバイクが並んでいる。みな交代でモニュメントをバックに写真を撮りあっていた。私も近くの男性にスマホとカメラの両方で撮ってもらい、その人に撮りましょうかと聞くと、「いやあ、顔が悪いので結構です」と辞退された。駐車場のそばにある売店に入ると、日本最北端到達証明書を発行してくれると言うので200円出して日付と時間入りのカードを貰う。売店には北海道ならではの熊や鹿の缶詰などを売っていた。道路をはさんだ向かいに2,3軒の食堂があり、ウニ丼、イクラ丼の垂れ幕があったが、まだ先でも食べるところはあるだろうと、出発。

 走っていたら「てっぺんドーム」という看板を見つけ、宗谷港に向かう。港に面したこの建物は下は風や雪がしのげる漁業の作業場で上は展望台になっていた。晴れていたらサハリンが近くに望めるらしいが全く見えず残念。下でしばし休息する。

    

 ガソリンはまだ余裕があったが、この先スタンドがないかもしれないので、マップルにあった最北端のガソリンスタンドに入る。この辺は何でもかんでも最北端がつく。ガソリンを入れると、おまけで小さいホタテの貝殻のキーホルダーをくれた。スタンドの人にこの先、ウニ丼が食べられるところがあるかと聞くとあると言うので安心していたら、結局どこにも無かった。

 荒れたオホーツク海を左に見ながら30km先のさるふつ公園の道の駅を目指す。猿払はホタテの名産地らしく、道沿いにホタテの販売所の看板が沢山あった。(どこも閉まっていたけど)。道の駅のレストランに入ると、団体客に店員がしきりにホタテの商品を宣伝していた。いわく、横浜の崎陽軒のシュウマイはずっと昔から猿払のホタテの貝柱を使っているとか、市販のホタテはほとんどが養殖だが猿仏産は全て天然だとか・・・。

 席に着き、やっとウニ丼かイクラ丼が食べられると勇んでメニューを開くと、それらは無く、ホタテがメインの料理ばかりだった。あのガソリンスタンドの店員め!。仕方なくホタテフライ丼を注文する。美味しくはあったが、何か欲求不満が残る。客のいなくなったレストランで食後のコーヒーを飲みながら、雨が上がるまでゆったりとくつろぐ。2時過ぎになり、店員も「こいつまだいるのか」と言う顔をするし、雨も上がったようなので腰を上げる。

 マップルに「さるふつ公園地下遊歩道、イルミネーションの道」と書いてあったので、何でこんなところにと不思議に思いつつ行ってみると、道路を横断して海岸に出るのに、わざわざ地下道を作ったものだった。どんなイルミネーションかと期待したが、薄暗い防空壕のような地下道の壁にブラックライトで海の魚や風景がぼんやりと浮かび上がるという、残念ながらショボいものだった。地下道を出て、海岸の方へ進むとやけにモダンな形の「いさりの碑」というモニュメントがあり説明文を読むと、猿払の先人たちがいかに苦労してホタテの一大産地にしたかというような事が書いてあった。その隣にはホタテの化石が入っている巨大な岩石もあった。

    

 猿払を出て浜頓別に向かう途中、直線道路が続くことで有名なエサヌカ線を走る。最初はすごいなあと思っていたが、強風、雨交じりの中、10kmもずっと直線を走っていると全く変わらない構図に目や頭が少しおかしくなってくる。直線が終わって右折したらまた次の直線が延々と続き、いい加減にしてくれと言いたくなる道であった。でも晴れていればライダーにとって、最高の道らしい。すると途中、ベニヤ原生花園という看板があり休憩がてら寄ってみた。季節ごといろんな花が咲いているようだったが、天気も悪いし遠景だけ眺め、中に入るのは遠慮した。

 浜頓別の町に入り、地図で宿を探す。拡大された地図を見るとすぐに着けると思ったが、これがなかなか見つからない。その辺りをぐるぐる回った挙句、結局ナビのお世話になった。それでも苦労しながら4時頃、何とか木立の奥にあるトシカの家に到着。60代のオーナーの女性が出迎えてくれた。バイクをとめたところは、地面が固く大丈夫だとは思ったが、念のため持参した板をサイドスタンドの下に敷いた。この板はこの先、キャンプ場などで結構役に立った。

 建物の外観に比べ、中は意外ときれいで、リフォームしたようだった。トシカとは湖のそばというアイヌの言葉らしい。写真が趣味のオーナーは2代目で、この建物の手前に今は使っていないログハウスのような建物があったが、それは先代が一人で作ったそうだ。カヌーも置いてあって、昔はすぐ近くのクッチャロ湖でカヌーもできたらしい。この宿はユースホステルではないが、宿泊のルールはそれに準じていて、酒は部屋ではなく、広間(食堂)で飲むこと、建物内は禁煙であること、浴室や洗濯の使い方などのこまごました説明を受ける。広い個室の部屋へ荷物を置き早速風呂に入ったが、大きな浴槽でゆったりとくつろげた。

 夕食の時間になり食堂に行くと、釧路から来たというもう一人の宿泊者の30歳くらいの男性がいて挨拶した。彼は昔、この宿でアルバイトをしたことがあり、オーナーと昔話などをしていた。ビールを注文し食事をしながら話をしたが、軽自動車で北海道でを中心によく旅行をしているそうだ。北海道の旅の情報などを聞いたりしたが、割と大人しい人で酒も飲まないし、オーナーも離れたテーブルで食事をしていてあまり話は弾まなかった。食事はジンギスカン風の焼肉がメインでホタテの刺身と小さな毛ガニの足が少し。毛ガニをもっと食べたかったが、なかなか美味しかった。